おしえて!ノースくん&サウスくん 第3話:「クリエイターとクリエーティブディレクターってどう違う」

今回はノースくんとサウスくんが、「クリエイター」と「クリエーティブディレクター」の違いについておしえてくれるみたいだよ!

登場人物

おねえさん:ノースくんとサウスくんを居候させているやさしい女性。広告のことはあまり詳しくないけれど、アイスクリームのことはすごく詳しい。

ノースくん:尖り気味のイカック。極寒の北極海生まれ汐留育ちのクリエーティブ・ディレクター。好きな飲み物はクラフトビールで、好きな恐竜はトリケラトプス。

サウスくん:大きな身体の雪男。南極のクレバス生まれ汐留育ちのマーケティング・ディレクター。好きなものは麻婆豆腐で、最近はスキューバダイビングも気になっているらしい。

だんだん涼しくなってきたね〜。

そうかなーまだまだ暑いよ。

あ、2人は寒いとこ出身だもんね。

氷ないの?氷がないと不安なんだよ、僕ら。

サウスくんが冷凍庫の氷ぜんぶボリボリ食べちゃうからもうなくなっちゃったよ。

仕方ないな。じゃ、アイスでいいよ。

さてははじめからアイス狙いだな。あ、そういえば今日も悩める読者さんから留守電入ってたよ!

ノースくん、サウスくん、おねえさん、はじめまして。僕は絵を描いたり作曲するのが好きな専門学校生です。学校ではデザインを学んでいます。将来はクリエーティブな仕事に就きたいと思うのですが、いわゆるクリエイターとクリエーティブディレクターってどんな違いがあるんでしょうか?参考にしたいので教えてください

という学生さんからの相談だね。今回はクリエティブディレクターのノースくんに答えてもらおうかな。

おっけ。いいよ。あ、というかクリエイティブディレクターではなくクリエーティブ・ディレクターね。あと以降面倒だから略してCDね。

あ……そうだった。クリエーティブ・ディレクターだったね。

そこは汐留エリア出身者のこだわりだから!

で、早速だけどクリエイターとCDってどう違うの?

そもそもクリエイターの定義をどこに置くかって話があるけれど、自分の解釈ではクリエーターの中にCDは含まれてると思ってる。

CDもクリエイターってことね。

いやぁ、そこむずかしいんだけどね。クリエイターの定義次第ね。

けっこう微妙な世界なのね。おっけ。

僕の定義ではクリエイターは広く何かを作る人。その中に「アーティスト」と「商業クリエイター」がいる。で、我々CDは商業クリエイターの方。

なるほど。どう違うの?

アーティストは、創作活動がまず自身の興味や疑問からスタートする。言いかえると、好奇心や探求心が一番根っこにあって、それを作品をクリエイトすることで表現するタイプのクリエイター。

世の中にないものを自分の中から作れる人だね。

一方、CDのような商業クリエイターは、まずは「課題」の設定からスタートする。この課題を解決するというゴールが最初からあって、ゴールにたどり着くための手段としてクリエイトする。

アーティストは文字通り芸術家って感じだけど、商業クリエイターは?

自分は、やっていて数学者に近いなと思う時があるよ。

数学者?

数学も「正解」というゴールに向かって、いろいろな方法を模索しながらたどり着く行為でしょ。難しい問題があればあるほど燃えるし、次々にどんどんあたらしい問題が欲しい。で、その問題に対してバチーンと答えを出すのが好きなんだ。

なるほどねー。でも数学と違って、必ずしも決まった答えあるわけじゃないでしょ?

さすがおねえさん、そのとおり!商業クリエーティブは答えは1つじゃないし、結果、本当にベストな解答が何だったのかは永久に分からない。たしかにそこは数学とはちがうけど、問題を与えられてゴールにたどり着くことが快感なのは同じだと思うな。

商業クリエイター側の人たちって作ったものを「自分の作品とは呼ばない」って言う人、多くない?

正直、人によるけど、確かに最近は増えたね。僕ははじめからそう思ってたよ。だってCMは「クリエイター個人の作品」ではなく「クライアントの広告宣伝ツール」でしょ?お金を出しているのも、最終的にジャッジするのもクライアントさん。

言われてみるとその通りだね。アーティストさんの場合は明確に「自分の作品」だね。

ちなみに広告賞とかはどうよ?

広告賞もクリエイター個人が「自分の作品」を応募し表彰される場だからなぁ。クライアントさんが応募して、クライアントさんが表彰される良いんだけど。

でも、CDとしてプロフィールに受賞歴が並ぶと箔がつくでしょ?

それはそうだね。海外だと受賞歴がヘッドハンティングのサラリーに露骨に連動するしね。

ノースくんはいっぱい賞とってるの?

僕は、応募しない主義。

出た!ひねくれもの。

ビジネス観点から言うとお金の流れも違うよな。商業クリイエイターは、クライアントさんのお金でものを作ってフィーをもらう。アーティストは、自分のお金でものを作って、それを売って自分でお金を得る。

たしかに。それはものを作るマインドセットにも影響する部分だね。あとこれは一概には言えないかも知れないけれど、アーティストさんは「無」から新しいものを作り上げる一方で、商業クリエイターはすでに世の中にあるものを組み合わせることで新しいものを作ることが多い。「あれとこれの組み合わせをここでやるのは新しいぞ!」って思考ゲームみたいなのは日常から癖みたいにずっと考えてる。

どっちのやり方でも、新しいものを作り上げるってのはすごいことだよ。

うん。でも、僕にとっては、同じようで同じじゃない。「無」から作り上げることは、自分にはできないんだよ。努力だけじゃどうにもならない才能だから。僕はすべてのアーティストさんをめちゃくちゃリスペクトしてるよ。

そうやってアーティストさんをリスペクトしながら、でも自分の仕事を楽しいって思えるのは素敵なことだねえ〜。

でも、残念ながら広告業界にはアーティストでも商業クリエイターでもどちらでもない人が多いと思う。

わ、いきなり毒吐いた。

再生産型、量産型……というか。いやいやそれどっかで見たぞ、というね。何かのコピーをしておけばOKとなってしまっているCDが多いんだよ。たとえ過去のものの組み合わせであっても、やっぱりそこには新しさが必要だよ。それがないと消費者は動かない。本当の商業クリエイターというのはなかなか……

まあ、ね。まあ。……じゃあこれからの商業クリエーターってどうあるべきだと思う?

うーん……正直わかんないというか……僕は人のことにそこまで興味ないというか……

おい。

おねえさん、これが彼の通常運転だから仕方ないんだよ。

でも、まぁ、強いて言うならば、武器を研ぎ澄ますだな。これからのクリエイターの活躍の場は、機械やAIにできない領域をやることなのは間違いない。だとしたら、マルチにある程度なんでもできますよみたいなクリエイターより、突き抜けたものを発揮できる人が重宝されるはず。

あとは、それをどううまく発信していくかも、大事だね。

だね。あとは、突き抜けたものを発揮できる機会をクリエイターにどんどん与えてください!ってクライアントさんにもお願いしたい。

ノースくんってベテランCDなのに意外と偉そうにしてないんだね。

自分の中に危機感が相当あるんですよ……。

えっ!急に弱気、どうした!?

アイデアが枯渇したらどうしよう、飽きられたらどうしよう、時代に取り残されたらどうしようって……。

やばい!なんだか目が虚ろに。

えっ!えっ!大丈夫だって。おねえさんがアイス奢るから元気だして!

わーい!

よくわからんけど、クリエイターも楽じゃないのね。

この記事をシェア